2014年10月11日土曜日

台湾の道徳教育ってどうなってんの?



何が良いことで悪いことなのか?
人を尊重することは良いことなのか悪いことなのか?
人のものを盗むのは良いことなのか悪いことなのか?


そんな【人の価値観】は、
学校教育では主に公民教育道徳教育で学びます。
もちろん、「公民」も「道徳」も各社会・文化によって意味合いが異なるので、一概にどれが正しいものかという判断はできかねないものですし、判断すべきものではないものです。

日本では、歴史の変遷とともにそれらの扱いは変化してきました。


戦後廃止された道徳教育(戦前では修身教育)が1958年に復活してから、今では必修科目となっています。
2008年からの新学習指導要領(:教育目標の最低基準を示したもの、法的拘束力あり)では、道徳教育は教育の基本軸とし(総則でも記述)、道徳教育だけに一章を割いており、その重要さを見て取ることができます。
その背景としては、子どものイジメ問題や自殺といったものがあり、子どもたちには「生きる力」「豊かな心」の育成が必要ということで、1998年から引き続いて重要視しています。

その子どもたちに育てるべき道徳心とは、
「従来から規定されている個人の価値の尊重、正義、責任などに加え、新たに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度、生命や自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度、伝統と文化を尊重し、それらをはぐぐんできた我が国の郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度」(教育基本法第2条)
に表れています。そして、日本の公民とは以上の道徳心をもつべきものだとしているのです。

そして、道徳教育では「評価をしない/すべきではない」とするのが日本のスタンスです。



では、台湾はどうなのか?

台湾にも道徳教育はありますが、
それは公民教育に含まれます。
とは言っても、公民教育も内容のほとんどは経済(平たく言えばお金の稼ぎ方)についてです。

そして、道徳教育?として独立してある必修科目は「三民主義」という科目です。
これは孫文が中華民国国民党をつくったときに掲げたスローガンです。
三民主義:民族主義/民権主義/民生主義

また、道徳教育とは道徳科目だけでなく、日々の学生生活の中でも培われるものですが、児童・生徒・学生の日々の生活/風紀を監督するのは、「教官」です。教官とは、軍人さんのことです。
そして、軍事の法律や兵法を学ぶカリキュラム「國防教育」を学ばなくてはなりません。

これら台湾の以上の教育課程はいずれも評価を伴います。つまりは点数が付けられるということですね。

個々人の価値観に点数を付けること――
良い点数をとるためには、個性を潰して、国の必要とする答えに沿う必要があります。

したがって、台湾には日本にあるような道徳教育はありません。


ただし、高雄市の東方工商専科学校のように、「教育勅語」を現在も使用して道徳教育を積極的に行っている学校もあります。とくに高雄市の学校はこのような傾向があるようです。



ちなみに、中国(中華人民共和国)ではどうなのか?

中国には道徳教育は歴史教育の中に含まれます。
道徳教育は独立して存在して居ません。
歴史教育の孔子など儒教を学ぶときに、しっかり孔子の教えを勉強する、という形をとっています。
(北京師範大学附属中学校を視察した時に、子どもたちが真面目に孔子の教えに耳を傾けていたのが印象的です。)




最後に、もう一度言いますが、
「公民」も「道徳」も各社会・文化によって意味合いが異なるので、
一概にどれが正しいものかという判断はできかねないものですし、判断すべきものではないものです。



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