2014年10月4日土曜日

[専門]重視の台湾 VS [総合]重視の日本

勉強,仕事などにおいて、
専門性(speciality) と 総合性(totality)
のどちらが重要でしょうか?

私たちの住む日本では後者を重要視しています。
いや待てよ?日本だって、専門職も総合職も両方あるじゃないか?そう思うかもしれませんが、ちょっと台湾事情を観てみてから、もう一度考えて欲しいのです。



まずは学校教育――

高校に進学後、文系・理系に分かれます。
 台湾では、文系に進むと化学等の理系の勉強をしません。また、同様に、理系に進めば社会科等の文系の勉強をしません。
 日本の場合は、文系・理系どちらも全ての教科は学習する事が必修になっていますし、国公立大学に進学する場合は基本的に5教科7科目平均的に理解することが必須となっています。

 大学においても、台湾は学問の領域を超えた研究が少ないです。
例えば、社会学の場合、台湾では社会学部が一つ独立し、その中で教育社会学や家族社会学を学ぶのが一般的。日本では、社会学部として独立しているものもあるけれど、教育学部の中にも教育社会学があったり、政治学部の中に政治社会学があったりと、社会学の方法を用いて色んな学問と連携しています。
 また、日本の国公立大学では教養科目として文系の学生は理系の授業をとることが必須となっていますが、台湾ではもちろん文系は理系の授業をわざわざとる必要はありません。


そして公務員――

 台湾では、公務員試験は年金課など課ごとに受験します。異動はありません。教員も同じです。
 日本では、課を約3年ごとに異動するのが一般的です。教員も同じで異動しなければなりません。


 以上の「公」の性質を持つ学校教育・公務員というものは、
日本ではその「平等性」を維持するために、偏りが出ないようにするのが目的として、
教育も、職員の異動もその【総合性】というものを重要視してきました。
台湾では「平等性」云々よりも【専門性】が特化している方が良い、とする観念が一般的です。


仕事においても、以上の特徴が顕れています――

 日本では、仕事そのものに対する技術・能力以外にも、コミュニケーション能力であったり、書類等雑務をスマートにできる技術も要求されます。技術屋さんも、技術があればそれで良いというものではありません。
 台湾では、仕事ができればそれで良いのだそうです。それ以外の仕事の過程であったり、仕事場の雰囲気云々は重要ではありません。例えば、その結果として顕著に見受けられるのは、台湾の店員さんの態度です。物が売れて稼げればそれでいいのです。お客さんもまた良い物が買えればそれでいいのです。

*    *    *

 私個人の意見としては、この台湾の【専門性】だけを重視する方法には反対です。
 社会というものは色んな領域が複雑に絡み合って出来ています。例えば、商売をするにも政治や経済など色んな領域に影響を受けるために、各方面を理解する必要性があります。その複雑に絡み合った社会全体を理解するためには、また色んな領域に対する知識も必要になってきます。
 しかし、大方台湾では以上のような”社会構造”をもっています。領域を超えて理解する必要性がないといいます。「商売人は政治なんて知らなくたって良い」と豪語する人も多いことに愕然とした事もありました。
 もしかしたら、この台湾の社会構造というものは誰かが意図的に構成しているのか?と疑ってしまうのは私個人の悪い癖ですね。個々が個々の好きな領域だけに目を向け、社会全体を観なければ、この台湾という社会がいかにおかしいものか気付くことすらないのですから。


 以上に関連して、「公民教育/道徳教育」についてまた次回扱いたいと思います。


2 件のコメント:

  1. 専門性と総合性において、日本社会では総合性を重視しているのは言うまでもありません。これはあくまでもわたくし自身の所見ですが、専門性は狭い分野を深く追求していくもの、総合性は広い分野を浅く追求していくものであると とらまえておりました。
    メリット、デメリットは必ずありますね。
    キャスでお伺いしてます「にしくん」からでした。


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    1. にしくんさん、いつもCASでお世話になってます&コメントありがとうございます!
      深く同意してます。

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